建設業許可

1.建設業許可とは?

建設業(建設工事の完成を請け負うことを営業)を営もうとする方に建設業許可が必要な理由は、建設業法3条にあるます。ただし書きの規定する「軽微な建設工事」のみを請け負う営業をなさる方以外は、建設業の許可を受けなければなりません

ここでの「許可」は、行政法上の「許可」です。法令に基づき、一般的(誰もが)に禁止されている行為について、特定の場合又は相手方に限ってその禁止を解除することを意味します。 他に行政法上の「許可」としては、自動車運転の免許などがあります。

農地法の許可は、行政法上の「認可」に当たります。このように、法律上の「許可」の概念は結構ややこしいです。

2.「軽微な工事」=許可が不要な工事とは?

上記1.の記述の様に、軽微な工事であれば建設業許可が無くとも、建設業を営むことが可能です。「軽微は工事」とは上記の図の通りです。

このように、建設業許可が必要になるのは、消費税込みで500万円以上の工事を請け負う場合です。建設業許可なく500万円以上の工事をすることは違法です。現在、千葉県では新規の許可申請をする際に許可の無い業者の施工した500万円以上の工事は実績として認めません。

建設業者として許可を得ることは、より大きな工事の受注に繋がります!弊所では許可の取得実績が多数ございます。

3.建設工事/建設業の種類

 

建設業許可が必要な工事は、建築一式工事とそれ以外で条件が違います。上記表の通り、建設工事の種類と建設業の種類はともに29あります。建設工事をするために必要な業種が建設業の種類になります。許可通知書は、建設業の種類として来ることになります。

「土木一式工事」「建築一式工事」の「一式」とは、「総合的な企画、指導、調整のもとに」土木工作物を建設する工事・建築物を建設する工事を指します。基本的に元請です。「土木一式工事」「建築一式工事」以外の「専門工事」は元請がほとんどありません。

平成28年6月1日に解体工事が追加されました。建設業許可にかかる業種区分の追加は約40年ぶりでした。

経過措置として施行日(平成28年6月1日)時点でとび・土工工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいた建設業者は、引き続き3年間(令和元年5月末まで)は解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することが可能(令和元年6月1日以降は、解体工事業の許可が必要)でした。

また、技術者要件に関する経過措置として、令和3年3月31日までの間は、とび・土工工事業の技術者(実務経験による認定の場合は、平成28年5月31までの経験)は、解体工事業の技術者とみなされます。

そして、令和3年3月31日までに「要件のある専任技術者への交代」が出来なかった場合、解体工事業の許可が取消しとなります!解体工事業について、ご不安のある方は、根本行政書士事務所にお問い合わせ下さい!

4.一般建設業と特定建設業

特定建設業は、発注者から直接請け負った1件の工事代金について、下請代金の合計額が4000万円(税込)以上(建築工事業の場合は6000万(税込)以上)となる下請契約を締結する場合に必要です。それ以外は、一般建設業許可が必要です。

特定か一般かの判断は、下請に発注する額によって決まります。

4000万、6000千万を請負工事代金と誤解している方が多いですが、元請けとして、下請に出す「合計」金額が4000万円を超えないのであれば、一般許可で何億円の工事も出来ます。

5.大臣許可と知事許可

本社が千葉市中央区にあって、船橋市に支店がある場合でも、(この場合は千葉県)知事許可で大丈夫です。

お客様からよくある問い合わせは、全国で工事をするには、大臣許可が必要かという件です。大臣許可は、「営業所」を複数の都道府県に置く場合に必要になりますが、知事許可があれば日本全国で工事が出来ます

上記4.と合わせて一般の知事許可があれば、日本全国、金額の制限なく工事が出来ます

なお、建設業許可の通知は、「営業所」に転送不要で郵送されます。そこで、営業所が実際にあるかのチェックをしているのです。

上記図のように、千葉県知事許可は、県内の土木事務所へ、大臣許可は関東地方整備局に申請書を提出します。大臣許可は令和2年4月1日より、千葉県庁への提出ではなく、関東地方整備局(関東地整)への直接の提出となりました。ご注意下さいね。

6.建設業許可の要件

①「経営業務の管理責任者」は、許可を受けようとする方が法人である場合には常勤の役員のうちの1人が、個人である場合には本人または支配人のうちの1人が次のいずれかに該当することが必要であり、これらの方を経営業務の管理責任者といいます。

(イ)許可を受けようとする建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。

→500万円以下の建設工事であれば、許可なしで出来ます。自己が役員である間に、そのような工事を請けた経験。

(ロ)許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していることなど。

→6年の経験があれば、許可がない業者でも29業種すべてについて、建設業許可の申請は出来ます。

(ハ)許可を受けようとする建設業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかの経験を有していること。
 (a)経営業務管の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
 (b)6年以上経営業務を補佐した経験

千葉県では、非常勤取締役としての経験でも、経営業務の管理責任者としての経験になります。平取締役でも大丈夫です。ただし、ある事業者の経営業務の管理責任者になると、その事業者での常勤性が求められます

要するに、建設業者が変な方向にいかないように、役員としての経験者が求められております。

平成28年6月1日より新たに以下の者も追加されました(役員の範囲の拡大)。
 ・取締役や執行役、業務を執行する社員に準ずる地位にあって、許可を受けようとする建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員等

建設業法での「役員」には、監査役は入りません。ここでいう法人の役員とは、次の方をいいます。
 ・株式会社又は有限会社の取締役
 ・指名委員会等設置会社の執行役
 ・持分会社の業務を執行する社員
 ・法人格のある各種の組合等の理事

土木事務所の担当者が、「監査役は、役員でないから」と言っていたのが印象に残っています。


②「専任技術者」は、その営業所に常勤して、もっぱら請負契約の適切な締結やその履行の確保のための業務に従事することを要する方です。

「経管」「専技」とも、常勤性が要求され、許可を取得した後に経管・専技が移籍した場合は許可の取消しの対象等になるので、注意することが必要です。
実際に、役所から連絡が来ます!役所は「経管」「専技」を把握しているのです。

専技は、一般建設業と特定建設業で要件が異なります。


・一般建設業
資格は、例えば2級建築士の資格があれば、建築一式工事、大工工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロツク工事、内装仕上工事の5業種の専任技術者になれます。

学歴は、指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する方です。指定学科は、土木工事業、舗装工事業であれば、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下この表において同じ。)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科であり、高校、大学を出ていればなんでもよいわけではありません。

実務経験は、現場での経験であれば、見習の経験でも大丈夫です。昔は1年に1件でもよかったのですが、現在は10年の実務経験は120ヶ月として運用されています。

監理技術者は、一般財団法人 建設業技術者センターに申請します。

・特定建設業

資格は、例えば1級建築士の資格があれば、建築一式工事、大工工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロツク工事、鋼構造物工事、内装仕上工事6業種の専任技術者になれます。

大変難関な資格です。

土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、
造園工事業の7業種は、指定建設業です。一級の国家資格を持つ者でないと、専任技術者にはなれない。経験ではなれません。

指導監督的実務経験は、前述の【一般建設業の許可を受けようとする場合】の専任技術者要件を満たしている方で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年(24ヶ月)以上指導監督的な実務経験を有する方です。

令和3年3月31日までは施行日(平成28年6月1日)時点でとび・土工工事業の技術者に該当する方は、令和3年3月31日までの間は、解体工事業の技術者とみなされます。

施行日(平成28年6月1日)時点でとび・土工工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいる建設業者は、令和元年5月31日までの間は、解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することが可能です。

施行日(平成28年6月1日)前のとび・土工工事業に係る経営業務管理責任者としての経験は、解体工事業に係る経営業務管理責任者の経験とみなされます。また、経管者に準ずる地位における経験も同様です。


③誠実性…請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。これは、許可の対象となる法人若しくは個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様です。


④財産的基礎
《一般建設業》
次のいずれかに該当すること。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
→金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書又は融資証明書(申請時点で証明基準日から1か月以内のもの)預金残高証明は見せ金でもOK。
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

《特定建設業》
次のすべてに該当すること。
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること


⑤欠格要件等
下記のいずれかに該当する方は、許可を受けられません。

(イ)許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき

(ロ)法人にあっては、その法人・法人の役員等・令第 3 条に規定する使用人、個人にあっては、その本人・支配人・令第 3 条に規定する使用人、法人の役員または個人が営業に関し成年と同一の行為能力を有しない未成年である場合その法定代理人が次のいずれかに該当しているとき

[1]破産者で復権を得ない方

[2]精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない方

[3]不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、取り消しの日から5年を経過しない方。また、許可を取り消されるのを避けるため、廃業の届出をした場合、届出の日から5年を経過しない方

[4]建設業法の規定により営業の停止や禁止を命ぜられ、その期間が経過しない方

[5]禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない方

[6]次の法律の規定に違反したことにより、罰金刑に処され、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行をうけることがなくなった日から5年を経過しない方

(ア) 建設業法

(イ) 建築基準法・宅地造成等規制法・都市計画法・景観法・労働基準法・職業安定法・労働者派遣法の規定で政令で定めるもの

(ウ) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

(エ) 刑法第204条(傷害罪)、第206条(現場幇助罪)、第208条(暴行罪)、第208条の2(凶器準備集合罪)、第222条(脅迫罪)、第247条(背任罪)

(オ) 暴力行為等処罰に関する法律の罪

[7]暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

[8]暴力団員等がその事業活動を支配している方